
森鴎外の短篇「木精」に新たなイラストレーションを添えた一冊。山中で「ホイ」と呼ぶ少年と、それに応える木の精霊との交感を描いた静かな物語が、現代の絵によって再び立ち上がる。表紙は抜けるような青空を背景に、麦わら帽の少女が雲の向こうへ手を伸ばす構図。雲がかすかに「Hello」の筆記体を象り、呼びかけと応答というテーマを視覚へと翻訳している。右側の太い明朝でタイトルを縦に据え、藍の帯が空の青を地に引き戻す。声が像になる瞬間を、紙の上に閉じ込めた装丁。
著太宰治、ねこ助
装丁根本綾子
リットーミュージック / 2021年
文学・評論