
平安の都を舞台に、ものの怪と交わる中将の物語を描く連作シリーズの第五巻。本作では「冬の牡丹燈籠」と題された一篇が、季節と怪異の交わるところを照らす。表紙は、烏帽子に直衣をまとった公達ふたりと、長い黒髪の姫君、石づくりの鉢を、咲きほこる牡丹と屏風めいた華やかな背景の前に配している。紫・群青・金が冬の闇を侵さぬまま華やぎ、白く抜かれた手書き風の題字が静かに浮かぶ。雅と怪異の境目を、絵そのものが薄い灯のように示している。
著甲田学人
装丁百足屋ユウコ+豊田知嘉
装画花邑まい
KADOKAWA / 2020年
文学・評論