
真夏のパリで催される晩餐の席を舞台に、人生の岐路に立つ女性たちの緊張を描く密室劇。ジゼル・アリミ賞受賞作の翻訳である。深い臙脂と影の落ちた室内を背景に、料理とワイングラスが並ぶ食卓を俯瞰で捉えた絵画調のイラストレーションがカバー全面に配される。タイトルは縦組みの白文字を不規則な大小で散らし、題字そのものが食い違いの気配を孕む。落ち着いた色域と一点の赤ワインの艶が、和やかさの奥でほどけていく関係性をそっと示している。

著森川智喜
装丁ミルキィ+イソベ
装画平沢下戸
講談社 / 2017年
文学・評論