
算術の天才少女が妖怪たちの難題に挑む、和算をモチーフにした時代ミステリ連作。確率、幾何学、円周率といった数学の知が江戸の怪異と交差する一冊。表紙には、長い銀髪を三つ編みにし黄色い着物をまとった少女が算盤を手にした水彩タッチの装画が大きく据えられ、円窓と雲文様、青や朱の和模様が背景に淡くひろがる。タイトルは朱の枠で囲んだ縦組み、著者名は同じく朱の短冊にあしらわれ、下部には鮮烈な朱色の帯が「剣より強し!」と大書されて配色を引き締めている。やわらかな筆致と力強い朱の対比が、可憐な主人公の聡明さと物語の痛快さを同時に伝える構成になっている。
著土橋章宏
装丁谷口博俊
装画須田悠
筑摩書房 / 2017年
文学・評論