
大叔母を訪ねる名目でアメリカ大陸を北から南へと旅する、十四歳と十七歳の姉妹の物語。少女たちのまなざしの揺らぎと、道中で出会う人々との手触りを、繊細な筆致で追いかけていく下巻。表紙は淡いダスティピンクの地に、開かれた手帳と万年筆、その上に止まる二羽の小鳥を細密なペン画で描く。線描の硬質さと地色のやわらかさが拮抗し、タイトル文字も控えめに配されて余白が広く取られている。書き留めることと、どこかへ羽ばたいていくこと——旅の途上にある少女たちの心の在り処が、紙面の静けさのなかに置かれている。

著TruongMoniqueT.D.、吉田恭子
装丁鳴田小夜子
装画有村佳奈
集英社 / 2022年
文学・評論