
在日コリアン二世の著者が自らの母校・朝鮮大学校で過ごした日々を綴った自伝的長編。閉ざされた寮生活と思想教育のなかで、家族や祖国、自由について揺れ動く若い感情が静かに描かれる。カバーには淡い緑がかった光のなかに浮かぶ校舎の写真。バルコニーに小さく佇む人影、整然と並ぶ窓、踊り場の階段が、青春の閉塞と外への憧れを同時にたたえている。タイトル文字は深い緑で組まれ、建物の量塊に重ね置かれることで、記憶のなかの場所をそのまま誌面に留めたような佇まいに仕上がっている。

著キタハラ
装丁岡本歌織
装画慧子
KADOKAWA / 2019年
文学・評論