
本のなかへ実際に旅できる少女ティリーが、パリを舞台に童話の世界の異変と向き合うシリーズ第二巻。赤ずきんやラプンツェルといった物語の根幹が揺らぐなか、地下図書館や〈本の旅〉の禁忌をめぐる謎が動き出す。深い藍を基調に、エッフェル塔を望む夜のパリを破れた紙片の向こうに覗かせ、額縁状の唐草装飾と星屑、外套姿の二人を配した装画が、現実と物語の境を行き来する世界観を一枚で示している。古典装幀を思わせる枠と童話的なイラストレーションの折衷が、本そのものを冒険の入口として差し出す造本になっている。
著水野敬也
装丁北谷彩夏
装画文平銀座
文響社 / 2016年
文学・評論