
窓の向こうの「あなた」へ届ける言葉を主題にした、二人の作家による一冊。手紙を運ぶ鳥のモチーフが、誰かに宛てて綴られる声の手ざわりを示唆する。淡いセージグリーンの地に白の葉模様を散らし、中央には金縁の窓枠。その内側には穏やかな森の景色が広がり、手前には木の椅子と机、背に掛けた黄色いショールが柔らかな体温を残す。机上の小さな鉢花、左右に立てられた二人の名前。室内と外、書き手と読み手——あいだに窓を置いた構図そのものが、本の在り処を絵にしている。

著小手鞠るい
装丁田中久子
装画秦直也
出版芸術社 / 2021年
文学・評論