
メンタルクリニックに勤めはじめた新米療法士の日々を描く連作。白衣にクリップボードを抱えた人物が、宙に浮く小さな鳥籠へそっと手を伸ばす。淡いターコイズの空、足元には幾何学のタイルと芽吹いたばかりの植物、まわりには紙片が舞い散る。繊細な線のイラストが穏やかに置かれ、タイトルの「逆」の一字だけが朱で立ち上がる。閉じ込められた心と、それを開こうとする手つき。装丁全体が、診療室の静かな攻防をやわらかく予感させている。

著JalalvandFarshid、久山葉子
装画Ryuto Miyake
新潮社 / 2023年
人文・思想