
中学陸上部を舞台にした青春小説の下巻。「チームみらい」「チームつばさ」二つのチームを軸に、走ることをめぐる少年少女たちの揺れを描く。淡い藤色を地に、オレンジのコートで歩み去る少女と、ダウンを羽織ってうつむき気味に立つ少年が、視線を交わさぬまま左右に配置される。手描き風の白い太い書き文字が画面中央で大きく弾み、水彩の柔らかな筆致と相まって、季節の冷たさと十代の体温を同時に立ち上らせる。距離をはらんだ二人と、なお明るい題字。揺らぎながら前に進む年代の気配が、紙面に静かに残されている。
著濱野京子
装丁城所潤
装画あわい
静山社 / 2023年
絵本・児童書