
京都・深泥池をめぐる怪異と日常の境い目を描いた連作怪談集の続編。前作からの世界をさらに奥へと押し進める一冊である。表紙には、燃えるような朱い満月を背に立つ黒い樹影と、夜霧の中を駆ける二匹の白い兎が和紙のような風合いで描かれる。墨と朱、そして草の緑が淡く滲み、靄に消えゆく地面はどこか此岸と彼岸の境を思わせる。題字は縦組みで端正に配され、絵の余白に静かに佇む。妖しさと郷愁が同居する一場面が、本の語り口そのものを予告している。
著北野勇作、森本晃司
装丁祖父江慎+藤井瑶
福音館書店 / 2023年
絵本・児童書