
古い家屋に憑く怪異を、営繕の手で静かに繕っていく連作短編集の第三巻。建物に染みついた記憶と、そこに暮らす人々の哀しみが、ひそやかに重なり合う物語が並ぶ。表紙はステンドグラスを思わせる窓を中心に据え、青・緑・黄に染め分けられた多角形のガラスを淡い水彩で描き出す。窓辺に絡む白い花、その奥にたたずむ少女、背景に流れる墨色の闇。古びた建具の艶と、奥に潜む不穏とが同じ紙面に同居している。朱で立ち上がる題字が、繊細な絵の静けさをわずかに引き締めている。
著北野勇作、森本晃司
装丁祖父江慎+藤井瑶
福音館書店 / 2023年
絵本・児童書