
写真家である著者が、自身の父をめぐって綴ったエッセイ。失踪を繰り返してきた父との時間を、写真と言葉の両方で見つめ直していく。表紙の上半分には、ベッドに横たわり一冊の本で顔を覆うように読みふける男性の写真が据えられ、青いデニムと淡い花柄の寝具、白い壁の角が室内のひそやかな空気を伝える。右側にはタイトルが大きな明朝で縦に流れ、下部の白い余白には推薦文が小さな級数で控えめに組まれている。被写体の顔を本が隠す構図は、近くにいるのに掴みきれない父の像と静かに響きあう。
著いとうせいこう
装丁佐藤亜沙美
河出書房新社 / 2014年
文学・評論