
パリに行ったことのない女性たちの、日常のなかにある小さな憧れや揺らぎを描いた短編集。表紙には、青を基調とした部屋でうつ伏せになり、床に広げた本か雑誌をのぞき込む女性が手描き風のタッチで描かれる。サーモンピンクの上着とミントグリーンの袖、ストライプのベッドカバー、机上のランプといった生活の細部が、彩度を抑えた色面でていねいに積み重ねられている。タイトルは上部の白帯と赤い著者名のブロックで端正に区切られ、絵の親密さと書名のつぶやきめいた口調がそのまま響き合う。
著いとうせいこう
装丁佐藤亜沙美
河出書房新社 / 2014年
文学・評論