
聖書の創世記を奇想と言葉遊びで再構築した短編集の、文庫としての定本。筒井康隆の言語実験が極まる一冊で、無意味と意味の境界をなぞるような文体の戯れが収められている。鮮やかなシアンの地に、蔦と草に呑まれた一台の廃車。屋根の上で遊ぶ子どもたちと、背後に沈むピンクの円。文明の残骸から新しい生命が芽吹く構図に、大ぶりの白い明朝でタイトルが重なる。終わりと始まりが同じ景色に同居する装画は、混沌から世界が立ち上がる本書の手触りをそのまま映している。
著いとうせいこう
装丁佐藤亜沙美
河出書房新社 / 2014年
文学・評論