
短編アニメーションを原作とし、孤独な「彼女」と寄り添う一匹の猫の視点から、ささやかな日常と心の機微を描く小説作品。カバーは部屋の床に座り込みカメラを構える女性と、こちらを見上げる白い猫を、夕焼けのような橙と紫の雲の渦のなかに収めた一枚絵。背景の白い余白を大きく取り、画面中央の場面だけを切り取るような構図と、縦組みで力強く配されたタイトル文字が、閉じた室内の親密さと外側に漂う心象風景を同時に浮かび上がらせている。声を持たない者の眼差しが、静かに紙面へ宿る。

著古野まほろ
装丁坂野公一
装画爽々
光文社 / 2022年
文学・評論