
人生に迷う男がゴルフコースで自らの来し方と向き合う、ディケンズ『クリスマス・キャロル』を下敷きにした再生の物語。表紙は水彩の淡いタッチで芝のフェアウェイを描き、長く伸びる影と砂色のバンカー、奥に霞むクラブハウスが穏やかなコントラストを成す。手前に佇む人物と遠くで打席に立つ人影が、緑の広がりの中に静かに配される。半透明のレモン色で重なる細身の英文タイトルが、光の差し込みのように画面全体を覆う。コースの静けさが、内省的な物語の入口を予感させる。

著浅田次郎
装丁高柳雅人
装画川上和生
小学館 / 2014年
文学・評論