
ショートショートの名手による掌編集。短い物語が次々と席に着くように並ぶ一冊で、サブタイトルの「ショートショート王国」がその豊かさを示す。表紙はくすんだ青緑を地に、石畳の床と煉瓦の暖炉を備えた室内の一場面を描く。卓上のランプが白いクロスを照らし、赤いナプキンと二脚のグラスが置かれた席に、貘のような生きものがひとり腰掛けている。向かいの椅子は空のまま。タイトル文字は赤い縦組みで添えられ、誰のための「指定席」なのかを、静かに問いかけてくる構図である。

著福田栄一
装丁鈴木久美
装画スカイエマ
光文社 / 2017年
文学・評論