
ある音楽家の人物像と仕事を、人脈や言葉、関わった曲目から多角的に立ち上げる特集号。表紙には、滝を背にベージュのニットをまとった人物が、円形に切り取られた絵画らしき板を抱えて静かに佇むイラストレーションが大きく据えられる。柔らかな筆致と落ち着いた色面で描かれた肖像の脇には、明朝体のロゴと黄色い円形の特集マーク、細い縦組みの目次が控えめに配される。雑誌でありながら一枚の絵画作品のような佇まいで、語られる人物への敬意がそのまま誌面の温度になっている。
著小田嶋隆
装丁尾原史和
ミシマ社 / 2020年
文学・評論