
サンフランシスコの不思議な24時間営業の書店を舞台に、新しい職を得た青年が古書に隠された謎へと足を踏み入れる長編小説。表紙は天井まで届く書架を見開きの舞台のように描いたイラストレーション。中央に楕円のプレートを掲げ、その内側に明朝のタイトルを置く構成で、長い梯子をのぼる人物、店主らしき老人、客の姿が小さく配される。深いえんじ色の帯と書架の連なりが画面に劇場めいた縦のリズムを生み、本という空間そのものを探検する物語であることを静かに告げている。
著小森収
装丁中村聡
装画柳智之
東京創元社 / 2021年
文学・評論