
超能力や信仰、目に見えない力に魅入られた人々を見つめる連作短編集。科学と神秘のあわいで揺れる存在を、抑制された筆致で照らしていく。黒を基調にしたコラージュ装幀。中央には目元を覆われた女性のモノクロ写真が据えられ、周囲を破れた紙片や幾何学パターン、白抜きの文字、淡い金で書きつけられた英文の手書きが覆っている。タイトルは小さな黒い帯の上に白く置かれ、騒がしい層のなかで静かに浮かび上がる。見える/見えないの境界を、視線を奪われた一つの顔がそのまま体現している。

著秋川滝美
装丁坂野公一
装画げみ
講談社 / 2021年
文学・評論