
斜めに交差する階段と床面で画面が四つに割られ、それぞれの区画を男たちが行き交う。誰もが別々の方角を向き、視線は交わらないまま同じ景色のなかに居合わせている。淡い黄と水色を基調にした柔らかな筆致のイラストは輪郭をあえてゆるませ、人物の表情よりも歩幅と姿勢で語らせる。題字の「45°」は黒く太く据えられ、絵の中の角度と呼応して画面を引き締める。すれ違いの瞬間にだけ立ち上がる小さな物語を綴った短編集に、目線を斜めにずらせば見えてくる風景という装丁の身振りが静かに寄り添う。

著皆藤黒助
装丁AFTERGLOW
装画くじょう
講談社 / 2019年
文学・評論