
温泉地の食事処「ヒソップ亭」を舞台にした連作短編シリーズの第二巻。料理と酒、人の機微をあたたかく描く物語が、湯けむりの向こうから立ちのぼってくる。カバーは飴色の灯りに包まれた小料理屋の一場面を描いたイラストで、白衣の主人を中心に、鍋を囲む客たちが箸やグラスを手にくつろぐ。手描きの線と滲ませた暖色のグラデーションが、湯気の柔らかさと夜の温度を同時に伝える。タイトル文字は手書き風の墨書きで、温もりある画面にしっとりと馴染んでいる。

著伊吹亜門
装丁坂野公一
装画水沢そら
小学館 / 2024年
文学・評論