
北欧やケルトの民話に登場する妖精トロールを、緻密な絵と文で描き出すヴィジュアル・ブック。長い白髪と曲がった角、骨や装飾を身につけた老いたトロールが、苔むした岩壁を背に佇み、肩には金色のフクロウが止まる。全体を覆うのは土と苔の褐色から琥珀色のグラデーションで、絵画特有のマットな質感が紙面にそのまま定着している。タイトルはセリフの効いた銀色の欧文と、赤い手描き風サインを重ね、上部に小さく邦題を添える控えめな構成。装画と書体が同じ薄暗さの中に沈み、頁をめくる前から伝承世界の湿度を立ち上げる一冊。
著阿川佐和子、阿川弘之、池波志乃
装丁坂本陽一
カバー写真阿部了
パルコエンタテインメント事業部 / 2013年
文学・評論