
東京の路地を歩きながら、街角に潜む「東京らしさ」を拾い集めた一冊。何気ない裏通りの風景、自転車、標識、ブロック塀、街路樹といった都市の細部に目を向け、軽やかな筆致で綴られていく散歩エッセイ。表紙の上半分はモノクロのペン画で、影と陰影だけで描かれた路地に小さく配された人物のリュックだけが鮮やかな青色に塗り分けられ、視線を一点に引き寄せる。下半分はその青を反復するように敷かれ、白文字のタイトルと曲線を描く一文が街路をたどる足取りのリズムを生む。線と余白の呼吸が、歩く速度そのものを誌面に翻訳している。
著波木銅
装丁森敬太
装画高木真希人
太田出版 / 2024年
文学・評論