
クリムトやミュシャが生きた世紀末ウィーン周辺の、装飾過多で夢のように華やかな建築を巡るビジュアル文庫。世界36か国589点の写真から、儚くきらめく装飾世界を辿る。表紙は緑青色のドームを戴く白亜の聖堂写真を中央に据え、装飾文字でデザインされた「幻想建築」のタイトルが建物の輪郭と響き合う。細い罫で囲った「一度は行きたい」、縦組みのサブタイトル、朱色の腰巻きに白抜きの躍るレタリングが、文庫サイズに観光ガイドの気配と図録の重みを同居させる。建築自体が持つ過剰な意匠を、誌面のレイアウトがそのまま手のひらに移し替えたような一冊。
著大津秀一
装丁albireo
装画killdisco
大和書房 / 2020年
暮らし・健康・子育て