
ソウルの最底辺と呼ばれる住宅街に潜入し、そこに暮らす人々の生活と都市の構造的搾取を描いたノンフィクション。深夜に撮られたとおぼしき密集する家屋と階段の写真がモノクロームの濃淡で覆い尽くし、その上に淡いブルーの太い明朝で書名と書誌情報が大きく置かれる。日本語と韓国語(着取도시,서울)を上下に重ねた組み方が、二つの言語のあいだに横たわる現実を静かに浮かび上がらせ、闇に沈む街の輪郭と寒色の文字が、表題の「搾取」という語の重さを抑制された調子で受け止めている。
著天童荒太
装丁名久井直子
装画田雜芳一
筑摩書房 / 2022年
文学・評論