
遺伝子という、人が選べない宿命をめぐるミステリ。タイトルの「二重螺旋」がDNAを連想させ、誘拐という事件を通して血の繋がりとアイデンティティが静かに問われていく。カバーは水彩タッチのイラストレーション。朱塗りの鳥居を背に、半袖の青年と幼い少女が手を繋いで佇む情景が、木漏れ日のような淡い緑と黄味がかった陽光で柔らかく包まれている。縦組みの白い明朝タイトルに小さくルビが添えられ、物語の不穏さをあえて伏せた穏やかな構図が、二人の関係に潜む謎めいた距離感を浮かび上がらせている。
著中町信
装丁鈴木大輔
装画田中寛崇
徳間書店 / 2022年
文学・評論