
夕暮れの橋の上に立つ二人の人物と、空を舞う鳥たちを描いた装画が表紙を覆う。真実と罪、揺れる結末を扱う警察ミステリーで、人が「こぼれ落ちる」ものへ手を伸ばす瞬間の重みを問う物語のようだ。装画はピンクから赤紫へ滲むグラデーションに沈み、街のシルエットと電線、街灯までが郷愁を帯びた光に包まれる。明朝体の縦組みタイトルが薄墨のように画面に落ち、下部の黒帯に白抜きで並ぶコピーが鋭いコントラストを生む。情感のある景色と硬質な活字の落差が、物語の繊細さと緊張を同時に予感させる。

著蒼月海里
装丁太田規介
装画秋赤音
PHP研究所 / 2022年
文学・評論