
人ならぬ虫たちが営む暮らしを、繊細な筆致で描いた連作コミック。擬人化された虫が和装で文机に向かい、茶を点て、菓子を供する──その小さな日常が、ひとつの宇宙として立ち上がる。生成りに近い淡黄のクリーム地に水彩の挿絵を中央へ据え、墨書きのタイトルを縦に大きく配した装丁は、文庫らしい慎ましさを保ちながら、絵巻物のような奥行きを感じさせる。青磁の火鉢、漆塗りの文箱、赤い敷物──色数を抑えた配色が、虫たちの儚さと矜持を静かに浮かび上がらせている。
著宮沢賢治
装丁アルビレオ
装画千海博美
筑摩書房 / 2017年
文学・評論