
自分には特に何もない」と感じる人が、ただ存在を“貸し出す”サービスを始めたところから綴られた思索の記録。スペックゼロを起点に、お金・仕事・人間関係を見つめ直す。表紙は広く取られた白地に、上空から伸びる大きな手につまみ上げられる人物のイラストを置き、足元には風船、青い鳥、ブタや犬、小銭など雑多な事物が散らばる。タイトルは縦組みの黒文字で静かに添えられ、軽やかな線と抑えた色面が、肩の力の抜けた本書の距離感とそのまま響き合う。

著沼野充義、沼野恭子
装丁森敬太
装画本秀康
河出書房新社 / 2021年
文学・評論