
人気作家の妻ミセス・マーチが、夫を殺人犯ではないかと疑い始める心理サスペンス。集めた"証拠"の先に辿り着く結末を描いた、現実が妄想に侵食されていくサイコミステリだ。表紙は、金髪の婦人の顔を緑の手袋がコラージュで覆い隠す構図。ターコイズと朱赤の対比、白いタイトル文字の縦組み、下半分を占める茶地に流れる手書き風の赤い独白が、抑圧された内面と外向きの仮面の落差を視覚化する。覆う手と覗く猜疑——装画と文字組が物語の核を端的に提示している。

著LeeHarper、上岡伸雄
装丁早川書房デザイン室
装画西山寛紀
早川書房 / 2016年
文学・評論