
19世紀の北極海を舞台に、捕鯨船に乗り込んだ船医と凶悪な銛打ちの対峙を描く暗黒の冒険小説。氷塊と荒波のあいだに帆船と小舟、そして大きく身をくねらせる鯨が配され、版画のような細密な線描で海面のうねりが画面下半分を埋めつくす。淡い緑灰の空に光芒が差し、両脇には切り立つ氷山がそびえる。タイトルは黒の明朝でやや大きく据えられ、波濤の白と緊張する青のコントラストが、極北の海に潜む狂気と暴力の予感を静かに伝える。

著ConradJoseph、高見浩
装丁新潮社装幀室
装画影山徹
新潮社 / 2022年
文学・評論