
雪山の頂に浮かぶ飛行船型の探査機、その下に広がる青く凍てついた峰々——SF的な舞台装置と本格ミステリの論理が交差する長編。表紙は青と灰白だけで構成された寒色のイラストレーションで、稜線の陰影や雪面の光は細密な線描によって立体的に立ち上がる。ドーム状の機体は小さく配置され、巨大な山塊との対比が孤絶した状況を強く印象づける。タイトル和文は雪の質感を思わせる白い手描き書体で重ね、英文ロゴをセリフ体で添える二段構え。冷気と静謐に貫かれた装画が、密室の極限で進む推理の手触りを先んじて伝えている。

著渡辺淳子
装丁鈴木久美
装画マメイケダ
光文社 / 2020年
文学・評論