
気軽に出かけたひとり旅で出会う、土地の食と風景。海沿いの道を歩く場面から、刺身定食やビール、焼き魚に至るまで、日常の小さな冒険を綴る連作短編集。上半分には橋と海を望むイラスト、下半分にはずらりと並ぶ料理が描かれ、軽快な線とみずみずしい彩色が紙面いっぱいに広がる。タイトルは縦長の淡い黄色の短冊に明朝で据えられ、帯のピンク地にはやや戯画的な手書き風書体で「口福って、素晴らしい!」と踊る。風景と食卓を一枚絵に同居させた構成が、旅先で味覚を解き放つ高揚をそのまま装丁に翻訳している。

著山田悠介
装丁鈴木久美
装画uki
KADOKAWA / 2016年
文学・評論