
朝のスープ専門店を舞台に、店主と客が日常に紛れる小さな謎を解いていく連作ミステリ。カバーには、温かな照明が灯る厨房でレードルを構える男性と、カウンター越しに座る女性の後ろ姿が柔らかな筆致で描かれる。手前のテーブルには湯気の立つカップ、サラダ、焼きたてのパンが並び、視線は自然と奥の調理場へ導かれる。タイトルは画面上部に縦組みで大きく置かれ、温色に沈んだ背景から白抜きで浮かび上がる。湯気と灯りの匂いが、謎解きの緊張をやさしくほどいていく。
著中町信
装丁鈴木大輔
装画田中寛崇
徳間書店 / 2022年
文学・評論