
ごはんと卵黄、その小さなひと匙の幸福を巡るフルカラーコミック。日々の食卓を起点に、ささやかな救いや人の機微をすくい上げていく一冊である。表紙は淡いベージュを地に、丼の中央に落とした卵黄をふきだしのように大きく掲げ、その下で正座してお膳に向かう人物を小さく配する。色とりどりの粒のような点描が画面を軽やかに散らし、手描きの題字と相まって、絵本のような余白と親密さをまとう。器の大きさと人物の小ささの対比が、ひと口の温度に支えられて生きていく時間そのものを静かに語っている。
著池井戸潤
装丁岩瀬聡
装画田中寛崇
実業之日本社 / 2016年
文学・評論