
生態も生涯もいまだ多くが謎に包まれたウナギ。スウェーデンの著者が、父との釣りの記憶と科学者たちの探究を織り交ぜながら、その不可思議な生き物の旅路をたどる一冊。表紙は淡い水色の水面を短い筆触で重ね、青灰のウナギが画面を斜めに横切る。手前には水辺の草、小舟に乗る人影、赤い小魚。原題「THE GOSPEL OF EELS」のセリフ体が画面右上に大きく置かれ、水彩の柔らかさと活字の硬質さが拮抗する。広い余白に泳がせるレイアウトが、海と川をまたぐ長い回遊そのものを静かに想像させる。

著河野裕
装丁川谷康久
装画越島はぐ
新潮社 / 2019年
文学・評論