
創薬の研究室を舞台にした、片思いやウイルス、密室の謎が絡む青春ミステリ的恋愛小説。中央に立つ三人の若者は、白衣やシャツに身を包み、フラスコや試験管、カプセル錠をそれぞれ手にして、研究室の日常と心の揺れを同時に抱え込んでいる。背景には鮮やかな紅葉と、ピンク・水色・紫が溶け合う光のような色面、斜めに走る薬品の軌跡が散りばめられ、明朝の太いタイトルが画面を縦に貫く。理知的な器具と季節の彩りが同じ密度で重なり合い、恋と研究が同じ実験のように立ち上がってくる装丁になっている。

著赤川次郎
装丁鈴木久美
装画坂本ヒメミ
KADOKAWA / 2022年
文学・評論