
夏の夜、花火の上がる空の下を駆けていく少年少女たち。「ぼくらの」シリーズの一冊として、仲間と過ごすひと夏の高揚と疾走感を描く物語だ。カバーは群青に沈む夜空と遠くに灯る花火、地平に滲むオレンジの光を背景に、リュックを背負い前のめりに走り出す中央の少年と、線香花火を手にする仲間たちをアニメーション調のイラストで配置。タイトルは鮮やかな黄色の手書き風書体で大きく置かれ、夜の暗さと祭りの熱を一枚に閉じ込めている。少年たちの足音と打ち上げ花火の余韻が、表紙のなかで重なり合うようだ。

著市川哲也
装丁西村弘美
装画まいまい堂
東京創元社 / 2023年
文学・評論