文学・評論
幽落町おばけ駄菓子屋 夕涼みの蝉時雨
蒼月海里
夕暮れの路地裏にあるという「おばけ駄菓子屋」を舞台に、人と異界のあわいを描くシリーズの一作。夏の終わりの宵闇に灯がともり始める時間の、ひんやりとした空気が漂う。表紙は青い浴衣をまとった青年が傘を手に佇むイラストを中心に据え、奥行きのある町並みと足元の水たまり、咲き乱れる青い朝顔、塀に潜む黒猫が物語の気配を漂わせる。タイトルはピンクとシアンのネオン調文字で配され、レトロな町並みと現代的な書体のコントラストが、現と幻の境を行き来する世界観をそのまま視覚化している。