
街の片隅に潜む現代の怪異を、語り部たちが茶話会の謎解きとしてひもとく連作。日常のすぐ隣にある奇譚という主題が、本作の核となっている。木の床と窓から差し込む光に満ちた室内で、椅子に腰掛ける人物、カメラを構える人物、床に座り込む人物が思い思いの姿勢で配置され、足元には細い線が緩やかに弧を描いて伸びていく。柔らかな筆致と暖色の陽だまり、宙を舞う光の粒が、語られる怪異と静かな午後の境界を曖昧にぼかしている。タイトルは右端に縦書きで凛と立ち、絵物語のような場面に物語の入口を添えている。

著斜線堂有紀
装丁カマベヨシヒコ
装画くっか
KADOKAWA / 2019年
文学・評論