
歌人による短歌をめぐる随想集。古今の一首を取り上げ、そこに潜む謎や可笑しみ、ふいに胸を突くものの正体を、軽やかな筆致で解きほぐしていく。表紙は淡い水色と白で組まれた幾何学的な建物のような空間に、ちょこんと立つ小さな人物と、その周囲をぐるぐる取り巻く紫の渦が描き込まれる。下部に走る鮮やかなピンクの帯と、整いきらない手描きの線が、冷たい構築物のなかにふいに体温を灯す。整然とした言葉の世界に迷い込み、ふと自分の輪郭と出会う——そんな読み心地に重なる一冊。
著汀こるもの
装丁コムロ+ルーム+小室杏子+熊谷博人+釜津典之
装画usi
講談社 / 2014年
文学・評論