
日々の中でうまく言葉にならない感情を、丁寧にすくい上げて差し出すエッセイ集。誰かに気持ちを伝えるということの難しさと、それでも伝えたいと願う心の動きが、やわらかな筆致で綴られる。表紙は白地に細い線描で草花が群れるように並び、その上にピンクやイエロー、ブルーの淡いドットパターンが蝶や花の輪郭となって浮かぶ。サーモンピンクの色面に置かれた明朝のタイトルが、繊細な植物画の中で静かに息づく。線と色のあいだに生まれる余白そのものが、言葉にならない思いの居場所のように感じられる装丁だ。
装丁大久保明子
装画益田ミリ
大久保明子 / 2015年
文学・評論