
陰陽師が営む紅茶店を舞台に、訪れる客へ「あなただけの一杯」を差し出す、和洋が溶け合う静かな物語。表紙では白い狩衣に立烏帽子姿の人物が、青絵の茶器が並ぶ円卓のかたわらに静かに立ち、背後には茶葉を収めた小箱が壁一面に整然と積まれている。落ち着いた紫紺と象牙色を基調にした淡い陰影、縦組みで右上に大きく置かれた朱色のタイトル枠が、画面に和の品格と物語の静謐さをもたらしている。装画と書体が、異界の店に迷い込むような読書の入り口を穏やかに用意している。

著蒼井上鷹
装丁大原由衣
装画中島梨絵
KADOKAWA / 2016年
文学・評論