
地球上の武装システムをすべて月に移し、軍縮を成し遂げたはずの人類。しかし月で進化を続ける兵器の動向を探るため派遣された使節は、自我を二分された状態で帰還する——東欧SFの巨匠による晩年の長篇。淡い藤色と灰色の幾何学が、画面いっぱいに静かに展開する。冷ややかな無機質さと、どこかユーモラスにも見えるブロックの組み合わせが、月面の不穏と寓話的軽やかさを同時に立ち上げている。タイトルや原題、訳者名は細い縦組みで控えめに配され、構図の余白が読者の想像へと引き渡される。
著FreemanRichardAustin、渕上瘦平
装丁山田英春
国書刊行会 / 2020年
文学・評論