
大学を出たものの社会にうまく踏み出せない若者たちが、地面に穴を掘り続ける——表題作をはじめ、奇妙でやさしい逸脱を抱えた人物を描く短篇集。淡いクリーム地に、折鶴・スプーン・梯子・自動車・ライター・クリップといった日用品が線画で散らばり、その一つ、楕円に塗り潰された穴の底へ小さな人影が梯子を降りていく。オレンジと水色の差し色が軽やかに効き、題字は穴へ吸い込まれるように縦に流れる。日常の縁から地中へ降りていく、本書の体温そのままの装丁。
著McDonnell、Caimh、青木、悦子
装丁藤田知子
装画岡野賢介
東京創元社 / 2022年
文学・評論