一覧に戻る文学・評論深紅の碑文(上)上田早夕里海に沈んだ未来都市を舞台に、生き残った人類の文明と記憶の行方を描く長編SFの上巻。深い青緑に染まる水中の廃ビル群、海底に静かに横たわる鐘のような球体、ゆらめく光線が立ちのぼる構図は、滅びの静けさと時間の堆積を映し出す。そこに「深紅の碑文」の四文字だけが鮮烈な朱で刻まれ、水底に残された血の痕跡のようにも、まだ消えぬ人間の意志のようにも見える。冷たい水と熱い文字の対比が、本作の重い問いを表紙の段階で言い当てている。About出版社早川書房出版年2013年ジャンル文学・評論Amazonで見る