文学・評論
裏世界ピクニック3 ヤマノケハイ
宮澤伊織
ネットロアを起点に「裏側」へ侵入する二人組の冒険を描くシリーズ第三作。本作では山が舞台となり、よく知られたはずの自然のなかにひそむ気配と対峙する物語が展開する。カバーは紅葉する林を背景に、錆びた鉄骨の構造物に腰かけてスマートフォンを構える二人の少女を据え、橙と深い緑が交差する色面のうえに、縦組みのタイトルを白抜きで大きく落とし込む。少女たちの自然な距離感と、背後に滲む不穏な奥行きの対比が、日常と異界の境目を歩む物語の温度をそのまま写し取っている。