
古今東西の文学から猫をめぐる作品を編んだアンソロジー。第I巻には世界の名手たちが描いた、猫と人とのあわいに広がる断片が収められている。生成り色の地に、襟を立てた擬人化された猫が一冊の本を抱えて腰掛ける銅版画調の挿画が中央に据えられ、下半身は墨黒の蛸の脚へと変容していく。タイトルは右肩に明朝で大きく組まれ、ローマ数字のIが朱で添えられて静かな緊張感を生む。文学が連れてくる夢想と異界性を、猫という穏やかな案内人が一冊にまとめ上げた佇まいである。

著穂村弘、東直子
装丁名久井直子
装画菅野裕美
筑摩書房 / 2007年
文学・評論